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工場長向け|遮熱“シートor塗装or断熱”徹底比較(費用・効果・工期)

メンテナンス基礎知識 2025.10.01 (Wed) 更新

工場長向け|遮熱“シートor塗装or断熱”徹底比較(費用・効果・工期)

工場の屋根から侵入する熱は、夏場の室温上昇の最大要因です。屋根表面温度が70℃を超える環境下では、エアコン効率が急激に落ち、電力使用量が1.5倍以上になるケースもあります。近年は電気代の高騰により「暑さ対策=コスト削減」が明確な経営課題になりました。

対策手段として注目されているのが、遮熱シート・遮熱塗装・断熱シートによる対策です。いずれも太陽熱を反射または遮断して温度上昇を抑える技術ですが、費用・効果・工期・停工リスクが大きく異なります。

工場長の立場としては真夏の工場内温度上昇対策は、悩みどころではないでしょうか。そこで今回のお役立ちコラムでは、遮熱シート・遮熱塗装・断熱シートについて、費用対効果(ROI)という観点で比較してくわしくお話しします。

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遮熱塗装・遮熱シート・断熱シート3手法の最適解

結論から言えば、「ROI・停工リスク・屋根材相性」の3軸によって判断するのがいいでしょう。コストや効果を単純比較するより「どの手法が自社の屋根構造と生産スケジュールに最も適するか」を明確にすることがポイントです。ここから遮熱シート・遮熱塗装・断熱シートそれぞれの特徴についてくわしくお話しします。

遮熱シート

遮熱シートはバランス型で稼働中でも施工できます。たとえばサーモバリアという製品は高純度なアルミ箔を採用し、高い反射性能を誇る遮熱シートです。

工場内の温度が上昇する原因として輻射熱が挙げられます。サーモバリアは輻射熱を97%カットすることで、工場内の温度上昇を食い止められるのです。

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遮熱塗装

最短で効果を出せる即効型の対策になります。遮熱塗装は、屋根表面に赤外線反射顔料が含まれた塗料を塗布することで、太陽光に含まれる赤外線を反射します。

遮熱塗装で採用される塗料の種類は「アクリル・シリコン・フッ素・無機系」など幅広いのもポイントです。ただし、屋根材の劣化や汚れによって反射性能が低下する点はネックと言えます。そのため10年前後で再塗装が必要です。短期的やすぐに成果を出したい工場や、試験的導入を行いたい場合に適した手法と言えるでしょう。

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断熱シート

高投資だが省エネ性能は高い手法です。断熱シートは、発泡ポリエチレンやグラスウール層+アルミ反射層からなる多層複合体です。輻射熱の反射と伝導熱の遅延のほか、空気層の対流抑制という三重効果が期待できます。

耐用年数は20年以上と長期で、長期経営計画の投資として最も有効です。ただし、既存屋根の構造によっては一時的にライン停止が求められますし、初期費用も高額傾向です。

各手法の特徴や費用

各手法の特徴や費用

各種法の特徴や温度低減効果などをまとめました。ただしこの表にある数値は、あくまで目安と考えてください。

区分

遮熱シート

遮熱塗装

断熱シート

構造原理

アルミ蒸着層による輻射熱反射(反射率90%以上)

高日射反射顔料による赤外線反射(反射率60〜80%)

発泡断熱層+アルミ反射層で伝導・輻射・対流の三重抑制

初期費用(㎡)

約6,000〜9,000円/㎡(屋内貼付タイプ)

約3,000〜5,000円/㎡(塗料グレードにより差)

約8,000〜13,000円/㎡(断熱材+施工)

温度低減効果

屋根裏温度:▲10〜15℃

室温:▲5〜9℃(環境省・静岡大学実証)

屋根表面:▲10〜20℃

室温:▲3〜5℃(建築学会/日建連)

屋根表面:▲12〜18℃

室温:▲8〜10℃(建築研究所・環境省)

耐用年数

約10〜15年(屋内施工で長期化)

約8〜12年(塗料グレードにより差)

約20年以上(断熱材規格・構造体内設置時)

工期の目安

2〜4日(稼働中施工可・停工リスク低)

4〜7日(屋外施工・天候依存)

3〜5日(屋根構造開放時・一時停工あり)

費用については、明確に「これだけ」という数値を出すのが難しいものです。施工する建物の形状や劣化状況によって大きな変動があります。あくまで仮の金額であり、実際の費用は、施工業者による慎重な調査や点検が必要です。

遮熱シート

参照:株式会社ライフテックサーモバリア

参照:国土交通省住宅局参事官マンション・賃貸住宅担当付き賃貸住宅の断熱性向上や遮音対策のための大家向けガイドブック

参照:日本建設業連合会 日本建築関係PDF資料(遮熱塗料比較表)

参照:環境省:ヒートアイランド対策技術集(2023)

参照:静岡大学共同実証報告(PRTIMES引用)

遮熱塗装

日本建設業連合会「遮熱塗料比較表」
日本建築学会技術報告集(2014)
断熱シート

建築研究所建築環境性能評価(CASBEE報告)

費用対効果(ROI)の数値比較

設備投資として導入する場合、ROI(投資回収期間)は意思決定の重要な指標です。以下は30坪規模(約100㎡)工場を想定した試算モデルです。年間の冷房費は、約35万円としています。

手法

初期費用

年間電気代削減額

投資回収期間(標準/中央値×標準)

遮熱塗装

約298,000〜496,000円

約87,500円(標準25@%)

約4.5年

遮熱シート

約595,000〜893,000円

約105,000円(標準30%)

約7.1年

断熱シート

約793,000〜1,289,000円

約122,500円(標準35%)

約8.5年

前提として「屋根からの熱流入比率が高い」場合のモデルです。こちらの数値もあくまで目安と考えてください。状況によって大きく変動します。屋根材・方位・既存断熱・天井高・換気量・内部発熱等で省エネ率が上下するため、稼働状況に合わせて補正が必要です。

基本的に最短だと遮熱塗装です。工場を稼働しながら施工をしなければならないなら、断熱シートが適しています。長期投資や通年の省エネを考えるなら、断熱シートです。

施工方式と稼働への影響

施工方式と稼働への影響

遮熱や断熱対策を検討する際は、施工方法と工期、稼働中に作業できるかどうかが重要な判断基準になります。遮熱シートは稼働中でも施工できる最も実務的な方法です。

遮熱シートは屋根裏から貼り付ける方式

施工期間は2〜4日程度です。工場を稼働させたまま作業できるため、生産ラインを止めたくない工場に適しているでしょう。

ただし、屋根裏のスペースが狭い場合や梁の複雑な構造だと、作業性が悪くなるリスクもあります。結果、工期が延びることも想定しておかなければなりません。

遮熱塗装は即効性あり

遮熱塗装は屋根の外側に直接塗布する方法で、施工期間は4〜7日ほどです。塗布直後から効果を感じやすく、短期間での温度低下を狙う場合に適しています。

一方で、屋外作業のため天候に左右されやすいのはネックです。雨天時は工事延期となる点に注意が求められます。部分的な施工は稼働中でもできますが、足場設置時は安全確保のため調整が必要です。

断熱シートは高い効果を得られるが工場を稼働しながらの施工はむずかしい

断熱シートは屋根構造の内部に挿入して施工する方式で、工期は3〜5日程度です。外気熱を遮る効果が高く、夏冬どちらの省エネにも寄与します。

ただし、既存屋根のパネルを一時解体する必要があるため、稼働中施工は不可と考えてください。作業中は安全管理体制を整えた業者による高所作業が求められます。このような内容を以下でわかりやすくまとめました。

  • 遮熱シート:停工リスクがなく、最も実務的で導入しやすい
  • 遮熱塗装:短期導入はできるが、天候による工程調整が必要になる
  • 断熱シート:性能は最も高いが、安全・停工計画が前提

各手法それぞれにメリットもあればデメリットもあります。ROIを考えたうえでの導入は施工業者と相談したほうがいいでしょう。より実績や経験のある業者なら信頼性は高くなります。

遮熱・断熱対策は暑さ対策ではなく経営投資

遮熱・断熱対策は、単に夏の暑さを和らげるための「環境改善策」ではありません。空調負荷の軽減によるエネルギーコスト削減と、作業環境の最適化による生産性向上(熱ストレス軽減・品質安定)を同時に実現する経営投資です。

冷房効率の改善や温度ムラの抑制は、電力使用量を平均20〜30%削減する効果が報告されています。これは、光熱費削減のみならず、従業員の作業効率・製品歩留まりにも直接寄与するのです。

遮熱・断熱改修は「支出」ではなく、ROI(投資利益率)を高めるための設備資産として捉えたほうがいいでしょう。

  • 短期回収型:遮熱塗装
  • 稼働中施工型:遮熱シート
  • 長期投資型:断熱シート

このような3軸を基準に検討することで、稟議では技術的にも財務的にも根拠を出せるのです。

FAQ(よくある質問)

FAQ(よくある質問)

Q1:遮熱塗装と遮熱シートを併用しても問題ない?

A.問題ありません。効果的な組み合わせです。遮熱塗装は屋根表面で「太陽光の反射」を行い、遮熱シートは屋根裏側で「内部への熱侵入を遮断」します。両者を併用すれば、外部反射+内部遮断の二段構えとなり、温度低減効果による相乗効果が期待できるのです。

Q2:シートの剥離や劣化は心配ない?

A.基本的に心配ありません。素材と施工方法により高い耐久性が確保されています。

遮熱・断熱シートの主材であるアルミ蒸着層や純アルミ箔層は、紫外線や酸化に強く、長期的に反射率を維持します。20年以上使用されている場合もありますから、経年で反射性能が大きく低下するリスクは少ないと言えるでしょう。

ただし、屋根裏で湿気がこもるなら、換気口設置や防湿層併用といった結露対策も検討が必要です。

Q3:メンテナンス費用はどのくらい?

A.遮熱塗装は10年前後で再塗装が目安、遮熱・断熱シートは基本的に維持費ゼロです。遮熱塗装の場合、屋外の紫外線や雨風により反射率が徐々に低下します。10年を目安に再塗装を行うことで、長期的な遮熱効果を維持できるのです。一方、遮熱シートや断熱シートは屋根裏・構造内に施工されるため、劣化要因が少ないのです。年1回、点検時に汚れや結露の有無を確認し、埃を除去する程度で対応できます。

工場の遮熱・断熱対策なら「中山建装」へ!最適なコスト削減プランをご提案します

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工場の屋根から侵入する熱は、夏場の室温上昇を引き起こす最大要因のひとつです。屋根表面温度が70℃を超えると、冷房効率は著しく低下し、電気代が1.5倍に膨らむケースもあります。そのため、遮熱・断熱対策は単なる“暑さ対策”ではなく、経営コストを下げる投資判断として捉えることが重要です。

今回比較した遮熱塗装・遮熱シート・断熱シートのうち、短期回収を狙うなら遮熱塗装、稼働中でも導入したいなら遮熱シート、長期投資型の省エネ経営を目指すなら断熱シートが最適です。ROI・停工リスク・屋根構造との相性を総合的に見極めることが、最も効率的な判断軸になります。

倉庫工場の塗装、雨漏り補修専門店(株)中山建装では、工場・倉庫・店舗など多様な屋根構造に対応し、遮熱・断熱システムの選定から施工までをワンストップでご提案しています。現地調査を行い、温度データに基づいた最適な施工方式を提示するため、ムダな投資を防ぎながら確実な効果を得られます。

お見積もり・ご相談はお問い合わせフォーム、メール、お電話で承っております。実際の温度測定デモやサンプル展示も行っておりますので、ぜひショールームへご来店ください。中山建装が、貴社の生産環境と電力コストを同時に改善する最良のパートナーになります。

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